「産休や育休に入ったら、お給料はどうなるんだろう」「生活していけるのか不安」—妊娠・出産を控えた方から、こうした声をよく伺います。実は、産休・育休中はお給料が出なくても、いくつかの公的な制度から代わりにお金を受け取れる仕組みが用意されています。ここでは、法律の知識がなくても分かるように、「いつ」「どこから」「どれくらい」お金がもらえるのかを順番に整理しました。
① 出産するときにもらえるお金:出産育児一時金
出産には平均で50万円前後の費用がかかると言われますが、健康保険に入っていれば(会社員として入っている健康保険でも、自営業の方が入る国民健康保険でも)、「出産育児一時金」として1人につき50万円(一部の医療機関では48.8万円)が支給されます。多くの病院では「直接支払制度」という仕組みが使われていて、この50万円は病院への支払いに直接充てられるため、退院のときに自分でまとまったお金を用意する必要は基本的にありません。
② 産休中の生活費はどうなる?:出産手当金
会社の健康保険に入っている方(パートやアルバイトで加入している方も含みます)は、産休の期間(出産予定日の6週間前から、出産後8週間まで)、お給料の代わりに「出産手当金」を受け取れます。金額の目安は、だいたい今もらっているお給料の3分の2くらいです。注意点として、個人事業主の方など国民健康保険に加入している方は、残念ながらこの出産手当金の対象にはなりません。
③ 育休中はいくらもらえるの?:育児休業給付金
育休に入ると、今度は雇用保険から「育児休業給付金」が支給されます。育休開始から180日目までは、お給料のおよそ67%、それ以降はおよそ50%が目安です。ただし月ごとの上限額が決まっていて、67%の期間は月323,811円、50%の期間は月241,650円が上限です(この上限額は毎年8月に見直されます)。育休に入る前の2年間にどれくらい働いていたかなどの条件もあるので、不安な方は勤務先やハローワークに確認してみましょう。
④ 夫婦で育休を取ると、さらにお金がもらえることも
2025年4月から、パートナーと二人でそれぞれ14日以上の育休を取ると、最初の28日間について育児休業給付金に13%上乗せされ、合計でおよそ80%相当がもらえる制度が始まりました。育休中は税金や社会保険料もかからないため、この期間はほぼ「今までの手取りと同じくらい」の金額になると言われています。パートナーと育休の取り方を相談してみる価値がある制度です。
⑤ 産休・育休中は社会保険料もかからない
産休・育休中は、健康保険や厚生年金の保険料を払わなくてよい仕組みになっています(会社が手続きをしてくれます)。「払っていない期間があるから将来の年金が減るのでは」と心配になるかもしれませんが、この期間もきちんと保険料を納めたものとして扱われるので、将来もらえる年金が減ることはありません。
⑥ もらえるお金に税金はかかるの?
ここで紹介した出産育児一時金・出産手当金・育児休業給付金・出生後休業支援給付金は、すべて税金がかかりません(非課税です)。翌年の住民税が上がる心配もないため、額面の数字よりも実際には少しゆとりがあると感じられるはずです。
まとめ:もらえるお金の早見表
| 制度名 | もらえるタイミング | 金額の目安 |
| 出産育児一時金 | 出産したとき | 1人につき50万円 (一部医療機関では48.8万円) |
| 出産手当金 (会社の健康保険の方のみ) | 産前42日+産後56日の間 | だいたい今のお給料の 3分の2程度 |
| 育児休業給付金 | 育休開始~180日目 /181日目以降 | お給料のおよそ67% /およそ50% |
| 出生後休業支援給付金 (夫婦で育休を取った場合) | 育休開始から 最大28日間 | 育児休業給付金に上乗せして 合計およそ80%相当 |
実際にいくら受け取れるか、いつ申請すればよいかは、加入している保険の種類やお勤め先の状況によって変わります。まずは会社の担当者に、自分がどの制度の対象になるかを確認してみてください。
会社に直接聞きにくいことや、細かい制度の疑問がある場合は、社会保険労務士に相談することもできます。当事務所では、妊娠・出産に関する制度のご相談のほか、会社側が制度を整えるお手伝いも行っています。気になることがあれば、お気軽にお問い合わせください。